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心を通わす薬剤師の仕事
2023.12.1
株式会社セキ薬品 薬剤師
関 颯伎さん
「しごととのこころ」は、小中高生に向けて杉戸町で活躍する様々な職業の方を紹介する情報紙です。今の職業に就くまでの道のりや仕事に対する思いなどを尋ね、実際のお話が聞ける講演の場を設けるなど、子どもたちのキャリア教育の一環として杉戸町で新しい取り組みがはじまりました。
「心を通わす薬剤師って?」
家族でセキ薬品を営む家に生まれた関さん。小学校の卒業文集で、すでに将来の夢は「薬剤師になる」と書いていたのだそう。
そんな関さんに、薬剤師になるまでの道のりと働く思いについてお話を聞いてみました。
まずは教えて!これまでのこと
「人体ってすごい!」図鑑が大好きな小学生
杉戸町で生まれ育った関さん。仕事に忙しい両親のもと、小学生の頃は習い事の毎日を送ります。やさしい祖母の愛情を受けて、愛犬と遊ぶ時間が大好きでした。夢中になったのは、図書室で借りた図鑑を隅々までながめること。特に身体の仕組みについて書かれた人体図鑑に深い興味を持ったと言います。高校生になり、夢の薬剤師を目指すためには、理数系を選択しなければなりません。苦手な「数学」や「物理」をなんとかクリアし、薬学部のある大学へと進学しました。
【写真】幼少期の関さん。まるで兄弟のように愛犬と一緒に過ごしました。
自分と闘った大学時代
薬学の大学は6年制で、卒業したあとに国家試験を受けることができます。授業で人体や細胞の機能を学ぶと「人間は生きているだけで価値がある!」と強い感動を覚えました。一方で、もともと苦手だった物理や化学では大きな壁にぶつかり、自信を失ってしまいます。合格点を取らなければ薬剤師に進むことはできません。「苦手なことから逃げてしまう自分と向き合うのが一番大変でした」。これまでの勉強法を見つめ直し、地道な努力を重ねていくと、結果を見るのが楽しくなったと言います。関さんは自分との闘いに勝ち、無事に大学を卒業しました。
苦労して掴んだ夢の国家資格
いよいよ薬剤師の国家試験に挑むことになった関さん。これまで努力した自分の力を信じ、見事合格!ようやく夢の国家資格を手に入れることができたのです。晴れて薬剤師となった関さんは、まず病院の門前薬局(※1)で働くことに。 そこでは患者さんから預かった「処方せん(※2)」をもとに、必要な薬を準備したり、正確に調合することが求められます。関さんは毎日多くの患者さんと接する中で、窓口での短いやりとりに歯がゆさを感じました。「薬剤師こそもっと一人ひとりに寄り添うことができるのに…」。その経験から「心を通わせる仕事がしたい」と理想を抱いてセキ薬品へ入社します。
※1 門前薬局…病院や診療所のすぐ近くにある調剤薬局のこと
※2 処方せん…医師が患者さんの治療に必要な薬の種類や量、服用方法などを記した書類のこと
薬剤師さんてどんな所で働くの?
薬剤師の資格を持っている人は、実にさまざまなところで活躍しています。
【薬剤師さんの主な職場】
▶病院・診療所……………………‥病院や診療所などの中にある調剤室
▶門前薬局……………………………病院や診療所などの近くにある調剤薬局
▶製薬会社・研究所…………………新薬やワクチンの研究開発など
▶ドラッグストア・処方せん薬局…市販薬の管理や薬の調剤
▶学校・保健所………………………国や行政など施設の衛生管理など
セキ薬品に入社してからのこと
1. 薬局にできることって?
セキ薬品の調剤部門に入った関さんは、患者さんに薬の効能や服用方法、体調に変化はないかなど、丁寧な声かけを重ねました。時には体内の仕組みをわかりやすく解説するなど、相手の目線に合わせた対応も心がけます。会話から悩みを打ち明けられることもあり、門前薬局とドラッグストアの薬局では、役割が全く違うことに気づいたと言います。
2. 身近な相談役になろう!
それからは、ドラッグストアという立場を活かして、薬を受け取ったあとの生活面も含めて考えるように。例えば一緒に取り入れると良い食品や日用品などを選ぶ上でもサポートできる「身近な相談役」に努めました。時には、「回復した患者さんから感謝のお手紙をいただいたこともあるんです」。
心が通じた時は「何よりもうれしい!」と関さんは話します。
3. 地域の健康を支える心
最近では、セキ薬品として「地域のために何ができるか」を考えるようになった関さん。市や町と協力し、災害時の支援物資に対応できる環境を整えるなど、地域とのつながりにも心を尽くすようになりました。「地域の健康は自分たちが支える」という強い信念を持って、目の前の一人を大切にしながら新しい取り組みも積極的に進めていきます。
【写真:左】処方せんの窓口では、薬の説明と合わせて相手の状況に耳をかたむけます。
【写真:右】店頭で患者さんの困りごとをサポートする様子。親しみやすい対応に安心感が広がります。
薬の分類は大きく3つ
薬は主に体のどこから入るかで、分類されています。
1【内用薬】口から飲み込み、胃や小腸で溶けて吸収する薬(カゼの薬など)
2【外用薬】からだの皮膚や粘膜から吸収させる薬(虫さされの薬など)
3【注射薬】からだに刺した針から、血液や体内の組織に直接入れる薬(注射液や点滴など)
調剤室の様子
患者さんから預かった「処方せん」を調剤室ではどのように準備しているのか見てみましょう!
これから大人になって夢をカタチにするみなさんへ
自分の好きなことを大切にしてね!やりたいことが見つかった時、「どうしてやりたいのか」思いを伝える力をつけると、応援してくれる人がきっと増えるよ!なりたいものになるためには、苦手なことに向き合う場面もあるので、そんな時は「どうしてやりたいか」はじめの気持ちを思い出してみてね。
お話のまとめ
幼い頃から愛犬家の関さんは、その想いから新たに盲導犬への取り組みを始めました。家庭では一人の妻として、「主婦が管理職についても働きやすい環境を考えたい」と何事にも前向きです。セキ薬品の一家に生まれ、会社だけでなく地域の未来も考える̶お名前の「颯伎(さつき)」という文字通り、颯爽と新しい風を送り続けることでしょう。
\ 関さんはココにいます! /
【 株式会社セキ薬品 】
〒345-0036 杉戸町杉戸2-3-3 ドラッグストア セキ 新杉戸店
▼詳しくはこちらをチェック!
株式会社セキ薬品 ホームページ<外部リンク>
※本サイトでは情報紙「しごとのこころ」で紹介された内容の一部をWEB用に編集して掲載しています。
令和5年12月発行 / 発行元:杉戸町人権・男女共同参画推進課 / 制作:mARu design room
【出張授業の様子】
町では町内を中心に活躍する働く女性を取り上げ、情報発信しています。
あわせて希望する町内の小学校に、性別にとらわれることのない進路・職業選択につなげてもらうため、しごとのこころで紹介した方による「出張授業」を開催しました。
【出張授業を受けた児童からの声】
「苦手なものに挑戦する方法がとても参考になった。いろいろな場面で使いたい。」「中学、高校に行って勉強は大変になるけれど、大変だからって夢をあきらめないで、1度決めたらつき進む大切さがわかった。」など前向きな感想が寄せられました。