いじめ防止基本方針(令和3年4月版)
はじめに
いじめは、いじめを受けた生徒の教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命または身体に重大な危険を生じさせる恐れがある。したがって、本校では、いじめ防止対策推進法(平成25年法律71号以下「法」という。)第13条に基づき、生徒が安心して学校生活を送れる学校づくりを行い、全校生徒が「安心・安全で明るく楽しく勉強や部活動などの学校行事を頑張って学校生活が送れる」ように、いじめ防止等の対策を教職員が組織一丸となって効果的に推進するためにこの基本方針を策定するものである。
1 いじめの未然防止のための取組
いじめの未然防止にあたっては、教育・学習の場である学校・学級自体に豊かな人権尊重の意識が醸成され、人権尊重の精神がみなぎっている環境であることが求められる。そのことを基盤として、人権に関する知的理解及び人権感覚を育む学習活動を各教科、特別活動、総合的な学習の時間のそれぞれの特性に応じ、総合的に推進する。
(1) いじめを許さない環境作り
- 全生徒がお互いを思いやり、尊重し、生命や人権を大切にする意識を身につけ、学級、学年、学校全体に「いじめは絶対に許さない」という環境作りをする。
(2) 人権教育の充実
- いじめは、「相手の人権を脅かす行為であり、人間として決して許されるものではない」ことを、生徒に理解させる。
- 生徒が人を思いやることができるよう、人権教育の基盤である生命尊重の精神や人権感覚を育むとともに、人権意識の高揚を図る。
(3) 道徳教育の充実
- 道徳の授業により、未発達な考え方や道徳的判断力の低さから起こる「いじめ」を未然に防止する。
- 「いじめをしない」「いじめを許さない」という人間性豊かな心を育てる。
- 生徒の実態に合わせて、内容を十分に検討した題材や資料等を取り扱った道徳の授業を実施する。
- 生徒の心根が揺さぶられる教材や資料に出会わせ、人としての「気高さ」や「心づかい」「やさしさ」等に触れさせ、自分自身の生活や行動を省みさせることでいじめを抑止する。
(4) 体験活動の充実
- 他者や社会、自然との直接的な関わりの中で、自己と向き合わせ、「生命に対する畏敬の念」「感動する心」「共に生きる心」に気づかせ、発見させ、体得させる。
- 福祉体験やボランティア体験、就業体験等、発達段階に応じた体験活動を体系的に展開し、教育活動に取り入れる。
(5) 特別活動の充実
- 日々の授業をはじめとする学校生活のあらゆる場面において、他者と関わる機会や社会体験を取り入れる。
- 生徒が、他者の痛みや感情を共感的に受容するための想像力や感受性を身につけ、対等で豊かな人間関係を築くための具体的なプログラムを教育活動に取り入れる。
(6) 保護者や地域の方への働きかけ
- PTA組織と協力して、「親の学習」の推進を通して、いじめの防止等のための保護者の役割についての啓発を図る。
(7) 生徒の自主的、自治的な活動の手助け
- 生徒会活動など生徒の自主的ないじめ撲滅活動を支援していく。
2 いじめの早期発見への取組
いじめの特性として、いじめにあっている生徒がいじめを認めることを恥ずかしいと考え、いじめの拡大をおそれるあまり訴えることができないことが多い。また、自分の思いをうまく伝えたり、訴えたりすることが難しいなどの状況にある生徒が、いじめにあっている場合は、隠匿性が高くなり、いじめが長期化、深刻化することがある。そのため、教職員には、心の訴えを感じ取る鋭い感性、隠れているいじめの構図に気づく深い洞察力、よりよい集団にしていこうとする熱い行動力が求められている。そこで、本校では、以下のような取り組みを通して、いじめの早期発見に努める。
(1) 日々の観察
- 休み時間や昼休み、放課後など、教職員が生徒と共に過ごす機会を積極的に設けることを心がけ、いじめの早期発見に努める。
(2) 生活ノートの活用
- 生活ノートを活用し、担任と生徒、保護者が日頃から連絡を密に取ることで信頼関係を構築する。気になる内容に関しては、教育相談や家庭訪問を実施し、迅速に対応する。
(3) 教育相談の実施
- 定期的な教育相談週間を設け、生徒と保護者を対象とした教育相談を実施する。
- 相談体制を整備し、生徒たちが気軽に相談できる環境をつくる。
(4) いじめアンケートの実施
- 実態に応じて随時実施する。
- 「生徒対象いじめアンケート調査」を、各学期途中に1回、年間3回実施する。方法は、家庭でアンケートを実施し、記名方式で厳封し担任に提出する。
- 「学校生活アンケート」を毎月実施する。方法は、各教室でアンケートを実施し、記名方式で担任に提出する。
3 いじめの早期解決への取組
いじめにあった生徒のケアが最も重要であるのは当然であるが、いじめ行為に及んだ生徒の原因・背景を把握し指導に当たることが再発防止には大切なことである。
(1) いじめ発見・通報を受けた時の対応
- 「いじめ防止対策委員会」を招集する。
- いじめられた生徒、いじめを知らせた生徒を徹底して守る。
- 登下校、休み時間、清掃時間、放課後等、見守る体制を整備する。
(2) いじめられた生徒またはその保護者への支援
生徒に対して
- 事実確認とともに、まず、辛い今の気持ちを受け入れ、共感することで心の安定を図る。
- 「最後まで守り抜くこと」「秘密を守ること」を伝える。
- 必ず解決できる希望が持てることを伝える。
- 自信を持たせる言葉をかけるなど、自尊感情を高めるよう配慮する。
保護者に対して
- 発見したその日のうちに家庭訪問等で保護者と面談し、事実関係を直接伝える。
- 学校の指導方針を伝え、今後の対応について協議する。
- 保護者の辛い気持ちや不安な気持ちを共感的に受け止める。
- 継続して家庭と連携を取りながら、解決に向かって取り組むことを伝える。
- 家庭で生徒の変化に注意していただき、どのような些細なことでも相談するように伝える。
(3) いじめた生徒への指導またはその保護者への助言
生徒に対して
- いじめた気持ちや状況などについて十分に聞き、生徒の背景にも目を向け指導する。
- 心理的な孤立感、疎外感を与えないようにするなど一定の教育的配慮のもと、毅然とした対応と粘り強い指導を行い、いじめが人として決して許されない行為であることや、いじめられる側の気持ちを認識させる。
保護者に対して
- 正確な事実関係を説明し、いじめられた生徒や保護者のつらく悲しい気持ちを伝え、よりよい解決を図ろうとする思いを伝える。
- 「いじめは決して許されない行為である」という毅然とした姿勢を示し、事の重大さを認識させ、家庭での指導を依頼する。
- 生徒の変容を図るために、今後の関わり方などを一緒に考え、具体的な助言をする。
(4) いじめが起きた集団への働きかけ
当事者だけの問題にとどめず、学級及び学年、学校全体の問題として考え、いじめの傍観者からいじめを抑止する仲裁者への転換を促す。
- 「いじめは決して許されない」という毅然とした姿勢を学級、学年、学校全体に示す。
- はやし立てたり、見て見ぬふりをする行為は、いじめを肯定していることであることを理解させる。
- いじめを訴えることは、正義に基づいた勇気ある行動であるということを理解させる。
- いじめに関するマスコミ報道や体験事例等の資料をもとに、いじめについて話し合い、自分たちの問題として意識させる。
(5) その他
- いじめに係る相談等において他校の生徒が関わるいじめの事実があると思われるときは、当該校への通報その他の適切な措置をとる。
- 本校では、いじめ防止対策推進法第23条2項に基づき、いじめに対する措置の結果を杉戸町へ速やかに報告する。
4 いじめの問題に向けての校内組織
本校は、全職員が、生徒のささいな変化に気付き、生徒の現状を全職員で情報共有し、情報に基づき速やかに対応する。
(1) いじめ防止研修会を年間計画に位置づけ、全職員の資質向上に努める。
(2) 生徒指導委員会で、問題を抱えている生徒について、現状及び今後の指導方法について情報交換し、共通指導ができるようにする。
(3) さわやか相談員やスクールカウンセラーの活用により、生徒・保護者がいじめに係わる相談ができるような相談体制を確立する。
(4) いじめ防止等の対策を実効的に行うため、本校では、「いじめ防止対策委員会」を設置する。
- 構成員は、校長、教頭、主幹教諭(または教務主任)、生徒指導主任、学年主任、教育相談担当、養護教諭、さわやか相談員とする。ただし、個々の事案により、学級担任や部活動の顧問が参加可能とするなど柔軟な組織とする。また、必要に応じて、臨床心理士や福祉の専門家の参加を杉戸町に要請する。
- 活動内容は、アンケート調査並びにいじめ事案に対する対応に関することとする。
- 定期的な開催だけでなく、いじめ事案が発生した時は、緊急で開催する。
5 いじめの防止対策推進法第28条における「重大事態」への対応について
生命・心身または財産に重大な被害が生じた疑いや、相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがある場合は、次の対処を行う。
(1) 重大事態が発生した旨を、杉戸町教育委員会に速やかに報告する。
(2) 教育委員会と協議の上、当該事案に対処する組織を設置する。
(3) 上記組織を中心として、事実関係を明確にするための調査を実施する。
(4) 上記調査結果については、いじめを受けた生徒・保護者に対し、事実関係その他の必要な情報を適切に提供する。
(5) いじめの被害生徒を守るため、補習計画を立案し、学習面のサポートを実施する。
(6) 重大事態が二度と起こらないために生徒指導体制の点検を行うとともに、年間計画の見直しを即座に実施する。
6 インターネットを通じて行われるいじめ対策
生徒及び保護者が、発信された情報の高度の流通性、発信者の匿名性、その他のインターネットを通じて送信される情報の特性を踏まえて、インターネットを通じて行われるいじめを防止し及び効果的に対処できるように、必要な啓発活動として、情報モラル研修会等を行う。
(1) 特別活動の時間を活用して、ネット問題について生徒向け講演会を実施する。
(2) 生徒の意識啓発ともに保護者の意識啓発に力を入れるため、上記講演会を保護者にも公開する。
(3) 集会等で定期的に話をし、ネットいじめは、名誉毀損、侮辱行為等の犯罪行為であることや、ネットの適正な利用について繰り返し指導する。
いじめ対策のための校内組織