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SugitoGRAPHICA vol.01【景観 / 心学 1】
遥かむかし、海の記憶 1
Oh, I remember! There was a big ocean, right?
【写真】東通貝塚の貝層
杉戸町には、縄文時代の貝塚である「木津内貝塚」や、古墳時代の有力者のお墓である「目沼古墳群」をはじめとする遺跡が、50か所以上確認されています。
ここでは「向山遺跡」「木津内貝塚」「東通貝塚」「鷲巣前原遺跡」「向台遺跡」についてご紹介します。
町内の貴重な埋蔵文化財について詳しく知りたい方は、「杉戸町遺跡地図」をご覧ください。
杉戸町の貝塚、海
かつての杉戸町域は縄文時代、海に接しており、台地上に住む縄文人の生活の痕跡として貝塚が残されています。貝塚は、不可食部の貝殻や廃棄物が積み重なったもので、多角的な調査から当時の社会や環境を復元する重要な情報源です。
これまでの調査により、杉戸町の貝塚は廃絶された竪穴建物(住居)に捨てられたものであることが判明しました。
また、この時代は日本列島を取り巻く環境の変化に伴い、海面が上昇し始めた時期でもありました。
海岸線は内陸の奥深くまで入り込み、この現象は「縄文海進」と呼ばれています。
【写真】向山遺跡 第16 号住居 貝層検出状況
縄文海進
縄文海進は、氷床の融解による海水準の上昇と陸地の隆起が同時進行した現象であり、台地に形成された入江や貝塚の存在と密接に関わっています。
さらに、黒潮(暖流)流路の変遷や気候との関係性も明らかになり、自然現象が多角的な要因によって変動することが示唆されています。
これらの研究は、過去の解明のみならず、未来の環境変化予測にも寄与できる可能性があります。