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SugitoGRAPHICA vol.01【景観 / 心学 4】
山との邂逅 2
The mountains stand eternal, an unwavering testament to the passage of time.
【写真】下野の森 雑木林には多様な樹種が混在している。
杉戸町には、縄文時代の貝塚である「木津内貝塚」や、古墳時代の有力者のお墓である「目沼古墳群」をはじめとする遺跡が、50か所以上確認されています。
ここでは「高野砂丘(下野の森)」についてご紹介します。
町内の貴重な埋蔵文化財について詳しく知りたい方は、「杉戸町遺跡地図」をご覧ください。
中川低地の河畔砂丘群 高野砂丘と下野の森
埼玉県東部の中川低地には、平安〜室町時代の寒冷期に形成された河畔砂丘群が点在しており、高野砂丘と下野の森がその代表例です。
高野砂丘は榛名山や浅間山の噴火による土砂が季節風で堆積したもので、現在は埼玉県指定天然記念物として保護されています。
かつては砂丘の規模が大きかったものの、高度成長期の砂採取によって縮小しました。
下野の森は、この砂丘上に広がる雑木林で、多様な樹種が混在し、鳥類や昆虫、小型哺乳類が生息する豊かな生態系を形成しています。
ただし、倒木の放置やゴミの投棄による環境悪化のリスクもあり、保護が重要です。
この小さな森は、散歩や自然観察を楽しむ場であり、木漏れ日や風の音が癒しをもたらします。
【写真】下野の森 木々の合間から木漏れ日が優しく降り注ぐ。
杉戸町に大規模な「山」はないものの、砂丘や古墳といった山を連想させるシルエットは、暮らしや信仰を支え、人々の心に深く関わってきました。
このような山々は、地域の文化や暮らしをさりげなく演出する舞台装置のような役割を果たしてきたと言えます。